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特別講演1について

胃癌の検査と聞けば、多くの人がバリウムを飲む検査や、胃カメラ(胃内視鏡)を思い浮かべるでしょう。しかし、これらの検査にはデメリットもあります。

バリウム検査では、バリウムが噴石となって腸閉塞をきたした例もあります。また、台の頭側を倒して撮影を行う際に、頭から落ちて重傷を負ったケースもあります。そして何枚もレントゲン撮影するため、放射線被ばくもあります。

胃カメラは、1日に検査できる人数が限られてきますし、医師以外の人が検査することはできません。また、近年は軽く麻酔をかけて苦痛のないように行うこともできるようになったとは言え、まだまだ苦しい検査だというイメージが払拭されていません。

そして、胃癌検診で死亡率を低下させるためには30~50%以上の受診率が必要と言われていますが、実際の全国平均受診率は2005年で8.4%というのが現状です。そこで近年は、ABC検診と言う方法が行われています。

第86回 日本胃癌学会総会の特別講演1では、座長に国際医療福祉大学学長であられます、北島 政樹先生をお迎えし、演者を認定特定非営利活動法人 日本胃がん予知・診断・治療研究機構 理事長の三木 一正先生に務めて頂き、胃がんリスク検診(ABC検診)の現状と今後の展望についてお話し頂きました。

ABC検診は、まず採血でヘリコバクターピロリIgG抗体(HP抗体)とペプシノゲン(PG)を調べ、この結果を組み合わせて胃癌のリスクをABCDの4段階に分けます。

HP抗体もPG検査も陰性の場合はAで、健康な胃粘膜です。胃疾患の可能性は低いと考えます。HP抗体が陽性でPG検査が陰性の場合はBで、消化性潰瘍などに要注意です。HP抗体が陰性でPG検査が陽性の場合はCです。胃癌の高リスク群です。HP交代もPG検査も陽性の場合は、胃癌がよりハイリスクなグループです。

このように4つのグループに分けて、必要な人にだけ胃カメラや胃内視鏡検査を行います。この方法で胃癌検診の受診率が上がると、死亡率も低下することが期待できると、北島 政樹先生や三木 一正先生を始め、胃癌治療にあたる医師たちは考えています。

わずか数ccの採血で検査が可能だということは、大きなメリットです。今後人間ドックでもABC検診が広まっていくでしょう。