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特別企画2について

第86回 日本胃癌学会総会の特別企画2は、学校法人獨協学園(理事長)を務める寺野 彰氏とがん研究会有明病院 消化器センター長を務める山口 俊晴氏が座長を担当されます。テーマは「TPPで何が変わる?」という一見胃癌治療とはかけ離れた演題です。しかしながら、今回の胃癌学会総会のテーマが「胃癌の征圧・叡智と実践」というアグレッシブな観点を内包していることを鑑みると、非常にふさわしいといえるのではないでしょうか。

現在の胃癌治療というのは、食の安全性と不即不離の関係性にあります。入院治療のみならず、こと外来治療に関して患者側の食養生というものは欠かすことができません。近年のみならず、従来の研究からも食の欧米化と胃癌治療は密接な関わりがあることは様々な研究から明らかになっています。

しかし、TPPによって、さらなる食の欧米化が進むとなると食の欧米化がさらに進むことになります。アメリカ合衆国では、当時上院栄養問題特別委員の委員長であったマグガバンによって、食と健康の関係が報告書にまとめられて発表されました。がんや心臓疾患などが食と因果関係があることを発表し、国民に注意喚起をうながす目的があったと考えられます。

マグガバン・レポートはアメリカの医療界に多大な影響を与え、医学界に食と健康との研究をうながす契機にもなったのではないでしょうか。しかし、現代社会ではコンビニエンスストアの発展や加工食品の普及により、決して健康的とはいえない食習慣が蔓延しているのも事実です。胃癌の臨床に関わってきた座長の元、TPPという大きな岐路に立たされた日本社会の食の安全性をディスカッションする特別企画は、すべての臨床家および研究職、医療関係者に新たな見地を与えるに違いありません。

患者の食指導に悩む臨床家にとっては、明日からの仕事に活かせる視点を得られるではないでしょうか。本特別企画によって、胃癌分野における全人的な医療が前進する兆しになることを期待してやみません。