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胃切除に伴う糖尿病リスクの減少

胃がんにより胃の切除をすると糖尿病リスクが減少するといわれています。
栄養の吸収力が落ちることから自然と痩せるため、もともと肥満で糖尿病予備軍だった人は改善するかもしれません。

しかし胃を全摘出したような場合には、むしろ新たに糖尿病を発症してしまうことがあるようです。

胃切除者で作られた団体の報告によると、胃の全摘後、糖尿病を発症した人は18%にも上ったそうです。

通常、食べ物は時間を掛けて胃から少しずつ小腸へと送られますが、胃切除されると食べ物がすぐに小腸に届いてしまうため血糖値が急上昇、処理しようとインスリンが過剰に分泌されます。これが長い間繰り返されることで、すい臓は疲弊し、糖尿病を発症してしまうというわけです。

胃切除後の糖尿病は、一般的に言われるような肥満や過食、運動不足などが原因の糖尿病とは切り離して考えます。胃切除により必然的に高血糖となってしまうことで起こるからです。

こうして高血糖状態に陥っても自覚症状はほとんど現れません。それでいて進行すれば失明に至る網膜症になったり、人工透析が必要な糖尿病性腎症になったりするので、放置は厳禁です。

最低限、定期的に血糖値の検査は受けましょう。特に家系的に糖尿病になりやすい人や糖尿予備軍だった人は血糖値を気に掛けるようにしてください。

また、もともと糖尿病を患っている人は、胃がんに限らずその他のガンにもかかりやすいことが、最近の研究でわかってきています。

生活習慣病としての糖尿病は、喫煙や過度の飲酒、不摂生な食事や運動不足、ストレスなどが積み重なって発症しますが、これらの要因は同時にガン発症の要因でもあります。そのため併発する可能性があるのです。

国立がん研究センターの報告によると、胃がん手術を受けた患者のうち10%が糖尿病でもあったそうです。

高齢化が進む現代、ガンも糖尿病もかかっている人が増えているようです。しかし、元をたどればどちらも同じ原因です。であるならなおのこと、生活習慣を改善し、予防に努めることが大切なのは言うまでもありません。